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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年10月25日裁決)

2023年09月01日
買手の課税仕入れが過大なら売手の課税売上げも過大と裁決
令和4年10月25日裁決
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代表取締役が同一人物である2社間の取引において、1社の課税仕入れの金額が過大計上であるとして更正処分されたとき、もう1社における課税売上げの金額も過大計上となるかどうかが争われた。審判所は、2社間の売買取引が私法上同一の取引であることは明らかであり、一方の課税仕入れの金額ともう一方の課税売上げの金額とは一致していることから、課税売上げの過大計上とした。
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X社は、日用雑貨等の販売及び輸出を目的として設立された法人で、その代表取締役は甲である。
X社は、外国人留学生等がドラッグストア等で購入した乳児・幼児用の紙おむつパックを、商品仕入れとして買い取って輸出業者等に販売しており、平成29年3月課税期間~12月課税期間(課税期間は3か月に短縮)において、甲が同じく代表取締役を務めるA社に対し、紙おむつパックを販売した。
平成31年4月、原処分庁はA社に税務調査を行い、令和3年7月5日付で、X社からの課税仕入れの金額が過大であったとして、消費税等の更正処分及び加算税の賦課決定処分を行った。
また、原処分庁はX社に対し、消費税法30条7項に規定する仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等を保存しない場合に当たり仕入税額控除は認められないとして、令和3年7月5日付で、各課税期間の消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分等を行った。X社は処分を不服とし、審査請求に及んだ。

主な争点は、A社におけるX社からの課税仕入れの過大計上額が、X社における課税売上げの過大計上額に該当するかどうかである。
X社は、A社との取引は私法上同一の取引であり、X社のA社への課税売上額とA社のX社からの課税仕入額とは一致しているのであるから、原処分庁は、A社の課税仕入額を過大であると認定するならば、X社の課税売上額も過大であるとして同額を減額すべきと主張した。
これに対し原処分庁は、
(1) A社の更正処分において認定した課税仕入額は、間接的な資料を用いて所得金額を認定する推計課税の方式により算出したものであり、X社とA社との取引に係る実額の課税仕入額とは性質が異なる。
(2) 推計に当たり算出の基礎とした単価は、A社とX社以外の者との間の取引に係るものであるから、A社の課税仕入額とX社の課税売上額とは当然に一致するものとはいえない。
として、A社の課税仕入額を過大であると認定したとしても、X社の課税売上額が過大であるとは認められないと主張した。

審判所は調査の上、X社からA社への課税売上額における過大計上額は、A社が仕入代金としてX社の預金口座に振り込んだ後、この預金口座から出金されてA社の預金口座に入金されたと認められる金額であり、A社において課税仕入れの額を過大に計上していたと認められる金額であると判断。X社とA社との間の売買取引が私法上同一の取引であることは明らかであり、A社における課税仕入額とX社における課税売上額は一致していることから、A社において課税仕入れを過大に計上した額が、X社における課税売上げの過大計上額と認められ、その金額は平成29年3月課税期間~12月課税期間の合計で約9億6,000万円と認定した。
そのため、これら課税期間における課税売上額は過大に計上されたものであり減額することが相当であるとして、この部分について原処分を取り消した。