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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和4年11月9日裁決)

2023年09月22日
調査段階で保存期間を経過した請求書に係る課税処分を取消し
令和4年11月9日裁決
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原処分庁が税務調査を行った日において消費税の請求書等の保存を要する期間を経過していた課税期間について、帳簿は保存されていたことから帳簿及び請求書等の保存要件を充足し、支払対価の額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるかどうかが争われた。
審判所は、保存期間が経過した課税期間については原処分を斥け、また請求書等の提示がなかった課税期間については請求人の主張を斥けた。
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Xは、野菜の生産・販売を事業として営む個人事業者であり、またA社の代表取締役である。
平成24年12月、Xは、A社との間で農業用設備を賃借する契約をし、平成26年以後、A社にリース料を支払っていた。
Xは、各年分の所得税等について、いずれも法定申告期限までに申告した。
令和2年12月、原処分庁は税務調査を開始し、Xから平成26年課税期間~平成28年課税期間の各課税期間(「3課税期間」)における各総勘定元帳の提示を受け、これを留め置いた。この際、Xから法定請求書等は提示されておらず、各総勘定元帳にも法定請求書等の交付を受けなかったことについてのやむを得ない理由の記載もなかった。
令和3年1月、原処分庁の調査官は、Xに関与する税理士の事務所に臨場の上、税理士に対し、Xには3課税期間分の必要経費に係る領収書の保存がない旨を伝え、調査官がすでに預かった留置帳簿等以外で保存している帳簿書類等がないかXに確認して提示するよう依頼した。令和3年2月にも、2度にわたり同様の依頼をした。令和3年3月、税理士は、Xには留置帳簿等以外の資料の保存はない旨回答した。
原処分庁は、令和3年4月付で、各課税期間における課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引について仕入税額控除は認められないとして、青色申告の承認の取消処分、各更正処分、過少申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分等を行った。
Xは処分を不服とし、審査請求に及んだ。

Xは、3課税期間の法定帳簿及び法定請求書等について、
(1) 実地調査の初日に保存があった。
(2) 実地調査の際、調査官に対し分かりやすく整理して提示しようとしたところ、調査官はこれを拒否して現物確認調査を行ったのであり、原処分庁は帳簿書類及び請求書等を把握しているのであるから、Xは法定帳簿及び法定請求書等を確実に提示したことになる。
等として、各課税期間において課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引についても仕入税額控除が適用されるべきであると主張した。

これに対し原処分庁は、再三にわたり留置帳簿等以外の法定請求書等の有無を確認し提示するよう求めたにもかかわらず、Xは提示しなかったことから、仕入税額控除は適用されない等と主張した。

審判所はまず、仕入税額控除の適用を受けるためには、消費税法施行令50条1項ただし書、消費税法施行規則15条の3、租税特別措置法86条の4第1項、租税特別措置法施行令46条の2第2項の各規定のとおり、法定請求書等について、受領した日の属する課税期間に係る消費税等の確定申告書の法定申告期限の翌日から5年間保存すれば足りることを確認。
本件における保存が必要な期間は、
・平成26年課税期間……令和2年3月31日まで
・平成27年課税期間……令和3年3月31日まで
・平成28年課税期間……令和4年3月31日まで
となり、平成26年課税期間については調査初日(令和2年12月)において保存を要する期間を経過していることから、この期間について原処分庁の主張を斥けた。
また、法定請求書等を実際に保存している場合において、税務職員が法定請求書等を検査することができるときに限り、仕入税額控除の適用が認められるところ、平成27~28年課税期間については、Xは調査官に対して法定請求書等を適時に提示しなかったことから、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上の取引については仕入税額控除が認められないとして、この期間についてXの主張を斥けた。