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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和5年1月27日裁決)

2023年11月10日
架空の社名や親族名義による出品は隠蔽・仮装に当たらず
令和5年1月27日裁決
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会社員が副業として行っていたネット販売において、ショッピングサイトの出品者情報欄に実在しない会社名や親族の名を記載していた行為が、隠蔽・仮装に当たるかが争われた。審判所は、出品以外の段階では本名で取引を行っていること等から、隠蔽・仮装には当たらないとした。
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平成26年頃、Xは、F社が運営するショッピングサイトに、自身が輸入等して仕入れた商品を販売するネットショップを出店した。出店にあたりXは、ネットショップの出品者情報を表示する画面(出品者プロフィール画面)内の「特定商取引法に基づく記載事項」欄にて、代表者としてXの母の姓名を記載していたほか、正式名称には「A社」、住所には「甲市乙町」と記載していた。実際にはA社は法人として登記のない、実在しない会社名であった。また「甲市乙町」は、平成26年9月までX名義で契約していたバーチャルオフィスサービスの所在地であった。
Xは、平成26年分~令和2年分の所得税等の確定申告書を、いずれも法定申告期限までに提出しなかった。また、平成27年課税期間~令和2年課税期間の消費税等の確定申告書も、法定申告期限までに提出しなかった。
令和4年1月、Xは、原処分庁の調査を受けた後、各確定申告書を提出した。原処分庁はこれを受けて、無申告加算税及び重加算税の各賦課決定処分をした。同年5月、Xは処分に不服があるとして審査請求をした。

原処分庁は、Xが出品者プロフィール画面に実在しない会社名や、母の名前を記載するなどしてXの存在を隠匿等してネット販売を行っていた行為は、国税通則法68条2項に規定する「隠蔽し、又は仮装し」に該当する等と主張した。

これに対しXは、
・自身の名前を記載しなかったのは、勤務先に副業が知られないようにするためであった
・母の名を記載したのは、自身が会社で勤務している間に母が商品の梱包発送作業に従事していたからである
等として、自身の存在を隠匿する意図はなく、課税を免れるために取引を隠蔽する意識は一切なかった等と反論した。

審判所は、ネットショップにまつわる取引等の実態を確認。
・商品の仕入れ(輸入申告、決済)や売上代金の回収(F社からの受領)において、一貫してXの実名で取引を行い、X名義の口座を用いていたこと
・出品者プロフィール画面にXの携帯電話番号を表示したり、発送伝票における「依頼主の住所」にX自身の住所を記載したりと、顧客に対してX自身がネット販売を行っていることを示す行動をしていること
から、商品の出品の段階において母の氏名等を記載していたことをもって、ただちにXがネット販売を行っていることを隠した等と評価することはできないと判断。たしかに顧客に対しては、Xの母が販売を行っているかのように誤認させる行為になっていると言い得るものの、Xが故意に事実をわい曲するなどの仮装行為を行っていた、又はXに帰属する売上げを秘匿する等の隠蔽行為を行っていたとは認めることはできないから、隠蔽又は仮装に該当する事実があったとは認められないとした。
結論として、賦課決定処分のうち無申告加算税相当額を超える部分など、原処分の一部を取り消した。