お問い合わせ

  • 〒101-0032
  • 東京都千代田区岩本町1-2-19
  • 株式会社日本法令 ZJS会員係
  • 会員直通:03(6858)6965
  • FAX番号:03(6858)6968
お電話での受付時間
平日 9:00~12:00
  13:00~17:30

お問い合わせはこちら

SSL グローバルサインのサイトシール

このシステムは、SSL(Secure Socket Layer) 技術を使用しています。ご入力いただいたお客様情報はSSL暗号化通信により保護されております。SSL詳細は上のセキュアシールをクリックして確認することができます。

税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和5年3月7日裁決)

2024年01月12日
庭園設備の相続評価は通達の定めによるべき
令和5年3月7日裁決
---------------------------------------------------------
自宅不動産を相続した相続人が、附属する庭園の立木や庭石等については評価せずに申告したところ、「評価通達の定めどおり、調達価額の70%で評価すべき」として否認、造園業者等による見積価額をもとに評価額を算出し、更正処分等を行った。相続人は庭園設備に価値はないと主張したが、審判所は、庭園設備は家屋の相続評価に含まれていないことから、庭園設備を家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとした評価通達は妥当とし、相続人の請求を棄却した。
---------------------------------------------------------
被相続人甲は平成30年9月に死亡。遺産分割協議の結果、甲の子であるXがすべての財産を相続することとなった。Xが相続した甲の自宅敷地は、家屋のほか庭園の用地としても利用されていたが、庭園には立木や庭石、灯篭等が置かれていた。
Xは申告期限内に相続税の申告を行ったが、上記庭園の設備については相続財産に含めなかった。
これについて原処分庁は令和4年1月、本件庭園設備は財産評価基本通達92(3)の定めにより調達価額(課税時期においてその財産をその財産の現況により取得する場合の価額)の70%で評価すべきであり、申告漏れとなっていると指摘した。
原処分庁は本件庭園設備の評価について、一般財団法人Aが市内の造園業者及び他の2業者による見積価額から算定し、国税局に報告した調達価額の70%と評価した上、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。Xはこの処分に不服があるとして、審査請求に及んだ。

Xは、本件庭園設備は、個人宅の庭であり、その立地条件等からして一体として売却することはできず、実際にも買手が見つからないため、本件庭園設備には交換価値がないと反論。仮に買主がいるとして立木、庭石、灯篭等を個別に売却しても原処分庁の評価には及ばないし、また自宅敷地内にあるため入場料を取れるようなものでもなく、宣伝や集客の効果もないもので使用価値もないとし、本件庭園設備は零円と主張。よって通達の評価によるべきではないとした。

審判所はまず、評価通達92(3)の趣旨は、庭園設備は家屋の固定資産税評価額に含まれていないことから、金銭に見積もることができる経済的価値のあるすべてのものが相続財産であることに照らし、庭園設備を家屋とは別に独立した財産として評価すべきであるとしたものと解するのが相当と指摘。
また、通達の「調達価額」とは、例えば庭石については、庭石商の店頭価額ではなく、課税時期において存する庭先への搬入費、据付費等をも含めた価額によるものと解され、本件通達が調達価額をもとに庭園設備の価額を評価する方法を採っていることは、一般的な合理性を肯定することができるものであり、相当と認められるとした。
その上で、一般財団法人Aが造園業者と共同で実施した本件庭園設備の現地調査は適正であり、その調査に基づく調達価額も評価通達92(3)に定める「調達価額」に該当すると認定。この価額をもって本件庭園設備の適正な時価を上回るものではないと事実上推認することができるため、本件庭園設備の価額は、特別の事情がない限り、通達の定める方法によって評価するのが相当と判断した。