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税理士向けニュース記事

注目判決・裁決例(令和5年4月12日裁決)

2024年05月02日
空室のまま放置の物件に小規模宅地特例は適用不可
令和5年4月12日裁決
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相続時に8部屋中5部屋が空室であった共同住宅において、ネットサイトで入居者を募集していたこと等を根拠に、空室部分も小規模宅地等の特例が適用されるかどうかが争われた。審判所は、不動産業者に物件仲介の実績がなく、実態として何ら募集活動を行っていないこと等から、賃貸されていたのと同視し得る状況になく、特例は適用されないとした。
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令和元年10月、甲が死亡し、その相続が開始した。相続人の1人であるXは、遺産分割協議を経て、木造2階建て・全8部屋の共同住宅及びその敷地を取得した。相続開始時点で、8部屋のうち3部屋が貸し付けられ、5部屋は空室だった。
相続税申告においてXは、この敷地のすべてについて小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)を適用したが、原処分庁は適用を認めず更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分等を行ったため、Xは処分を不服として審査請求に及んだ。

Xは、相続開始の直前に8部屋のうち5部屋が空室であったとはいえ、甲は生前この共同住宅を貸付事業以外の用に供さず維持管理を行い、インターネットサイトにて各空室の入居者の募集をしていたことから、全部屋が貸付事業の用に供されていたとして、敷地のすべてに小規模宅地等の特例が適用される等と主張した。

これに対し審判所は、空室5部屋のうちまず3部屋について、少なくとも4年6か月以上の長期にわたって空室の状態が続いており、客観的に空室であった期間だけみても相続開始時に賃貸されていたのと同視し得る状況になく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないとした。
残る2部屋についても、空室であった期間は長期にわたるものではなく(2か月~5か月)、たしかにインターネットサイトに入居者を募集する旨の広告が掲載されていたものの、その問合せ先である不動産業者が、
(1) 本物件で入居者を仲介した実績がないこと
(2) 平成27年以降の空室状況を把握していなかったこと
(3) 各オーナーから広告の掲載を取りやめたい旨の申出がない限り掲載を継続する扱いをしており、実態としては広告が放置されていたにすぎないこと等
から、やはり相続開始時に賃貸されていたのと同視し得る状況になく、一時的に賃貸されていなかったものとは認められないと判断。
したがって、空室5部屋部分は甲の貸付事業の用に供されていたとは認められず、敷地のうち各空室部分に対応する部分に小規模宅地等の特例の適用はないと認定。原処分をすべて適法として、Xの請求を斥けた。