令和7年5月30日「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律(譲渡担保法)」「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)」が成立し、6月6日に公布されました。
譲渡担保法は、これまで法令に明文の規定がなかった動産や債権等を目的とする譲渡担保契約、所有権留保契約の効力、譲渡担保権、留保所有権の実行、破産手続等における権利の取扱い等を定めています。
1.明文化・明確化
① 動産譲渡担保権設定者の権限
・設定者が担保の目的動産を使用収益することができることを明文化
② 集合動産・集合債権譲渡担保権に関する規律
・集合動産・集合債権譲渡担保権の設定が可能であることを明文化
・設定者の動産の処分権限・債権の取立権限、担保価値維持義務に関する規律を明確化
③ 根譲渡担保権の効力に関する規律
・根譲渡担保権の譲渡や元本確定事由など、根譲渡担保権に関する規律を新設
2.合理化
① 動産譲渡担保権と他の担保権が競合した場合の優劣関係
・第三者から認識しやすい譲渡担保権(例:登記されたもの)が優先するようにルールを変更
② 裁判所の手続によらない私的実行に関する規律
・私的実行の完了までの一定の猶予期間を創設、着手から2週間の経過等までは、実行が完了しないものとする
③ 譲渡担保権の破産手続等における取扱い
・破産手続等において質権と同様に扱われることを明文化
・裁判所による譲渡担保権の実行手続の禁止命令・取消命令を創設
④ 一般債権者の弁済原資を確保するための方策
・譲渡担保権者が倒産財団に一定額を組み入れる制度を創設
整備法は、譲渡担保権等の十分な公示を行うために「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」を改正して、動産・債権譲渡登記制度を見直すなど、関係法律について所要の整備が行われています。
<施行>
令和7年6月6日から起算して2年6月を超えない範囲内