国土交通省と経済産業省は、洪水等の発生時に機能継続が必要と考えられるマンション、オフィスビル、病院等における電気設備の浸水対策のあり方や具体事例について記載したガイドラインをとりまとめました。
今後、新築・既存の建築物において、洪水等の発生時における機能継続に向け浸水対策を講じる際の参考となるよう地方公共団体及び関連業界団体等に対して周知するとしています。
【ガイドラインの概要】
1.適用範囲
・高圧受変電設備等の設置が必要な建築物
・新築時、既存建築物の改修時等
2.目標水準の設定
・建築主や所有者・管理者は、専門技術者のサポートを受け、目標水準を設定。
・以下の事項を調査し、機能継続の必要性を勘案し、想定される浸水深や浸水継続時間等を踏まえ、設定浸水規模を設定。(例:○○cmの浸水深)
▼国、地方公共団体が指定・公表する浸水想定区域
▼市町村のハザードマップ(平均して千年に一度の割合で発生する洪水を想定)
▼地形図等の地形情報(敷地の詳細な浸水リスク等の把握)
▼過去最大降雨、浸水実績等(比較的高い頻度で発生する洪水等)
・設定した浸水規模に対し、機能継続に必要な浸水対策の目標水準を設定(建築物内における浸水を防止する部分(例:居住エリア)の選定等)
3. 浸水対策の具体的取組み
設定した目標水準と個々の対象建築物の状況を踏まえ、以下の対策を総合的に実施。
①浸水リスクの低い場所への電気設備の設置
・電気設備を上階に設置
②対象建築物内への浸水を防止する対策
建築物の外周等に「水防ライン」を設定し、ライン上の全ての浸水経路に一体的に以下の対策を実施(出入口等における浸水対策)
・マウンドアップ
・止水板、防水扉、土嚢の設置(開口部における浸水対策)
・からぼりの周囲への止水板等の設置
・換気口等の開口部の高い位置への設置等(逆流・溢水対策)
・下水道からの逆流防止措置(例:バルブ設置)
・貯留槽からの浸水防止措置(例:マンホールの密閉措置)
③電気設備設置室等への浸水を防止する対策
水防ライン内で浸水が発生した場合を想定し、以下の対策を実施(区画レベルでの対策)
・防水扉の設置等による防水区画の形成
・配管の貫通部等への止水処理材の充填(電気設備に関する対策)
・電気設備の設置場所の嵩上げ
・耐水性の高い電気設備の採用(浸水量の低減に係る対策)
・水防ライン内の雨水等を流入させる貯留槽の設置
4.電気設備の早期復旧のための対策
想定以上の洪水等の発生による電気設備の浸水に関して以下の対策を実施。(平時の取組)
・所有者・管理者、電気設備関係者の連絡体制整備
・設備関係図面の整備 等(発災時・発災後の取組)
・排水作業、清掃・点検・復旧方法の検討、
・復旧作業の実施 等