「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」が公表されています
9月30日、公正取引委員会は、「実演家等と芸能事務所、放送事業者等及びレコード会社との取引の適正化に関する指針」を公表しました。
本指針は、フリーランス法、下請法および独占禁止法の適用が考えられる芸能事務所と実演家との取引について、取引慣行等に関して行われた実態調査等の結果を踏まえ、芸能事務所、放送事業者等またはレコード会社の採るべき行動の行動指針として取りまとめられたものです。
指針は、次の取引および行為を対象としています。
●実演家と芸能事務所の取引
専属義務の期間
競業避止義務等
移籍・独立に係る妨害行為
実演家の権利に対する行為
実演家の待遇に関する行為
契約の透明性を妨げる行為
●放送事業者等と芸能事務所・実演家の取引
取引条件
●レコード会社と芸能事務所・実演家の取引
契約終了後の活動制限
上記の行為に対して、次のような内容が盛り込まれています。ここでは、主なものを紹介します。
【実演家と芸能事務所の取引】
●専属義務に係る契約期間の設定について
・一定期間確保する必要がある場合には、あらかじめ契約上その期間を明確に規定すること
・芸能事務所が育成等のための投資費用(以下、「育成等費用」という)を合理的な範囲で回収し、かつ、合理的な範囲で収益を確保するために必要な期間について、実演家に十分説明し、協議すること
●競業避止義務等の規定について
・原則として、契約上、競業避止義務等を規定しないこと(既存の契約で定められている場合は競業避止義務等を定める条項を削除すること)
●移籍・独立に係る金銭的給付の要求について
・退所する際に金銭的給付の要求を行うことがある場合には、あらかじめ契約上規定しておくことが望ましい
・特に、合理的な範囲で育成等費用の未回収分を回収し、かつ、合理的な範囲での収益を確保するため金銭的給付を要求する場合に、要求する金銭の額が高額となり得るときは、どのような場合に金銭的給付が求められるか等の考え方や算定方法等を契約上規定し、契約締結の段階(および更新の段階)において、実演家に対して、その必要性も含め、十分に説明し、協議すること
・退所する際に実際に金銭的給付の要求を行う場合は、実演家に対して、要求する金額の算定根拠を示すとともに、その必要性・相当性を十分に説明し、実演家と協議すること
●業務の強制について
・取引先から依頼を受けた業務の具体的内容について事前に実演家に提示し、その意向を確認すること
・実演家が特定の業務を拒否した場合に、当該実演家について合理的な理由なくその他の業務も含めて一律に営業活動を行わないというような報復等を行ってはならず、実演家の自由な選択を尊重すること
●契約を書面により行わないこと、契約内容を十分に説明しないことについて
・契約内容(業務の内容、報酬額の算出方法等)を明確化した上で、契約を書面で行うこと
・実演家(特に若年の実演家)との契約締結時に、実演家が取得する各種権利や芸名の帰属に係る条項、報酬に係る条項、実演家の活動(退所後を含む)を制約し得る条項などの重要な契約内容については、積極的に、その目的を含め十分に説明すること
・契約更新時に、重要な契約内容について、実演家の意向を十分に確認すること
【放送事業者等と芸能事務所・実演家の取引】
●業務依頼時の十分な交渉、契約条件の書面等での明示について
・芸能事務所・実演家に対して、業務依頼時に、可能な限り具体的な契約条件(報酬の金額や支払条件、業務内容、拘束期間など)を書面等(メールや電子ファイル等を含む)で示すこと
【レコード会社と芸能事務所・実演家の取引】
●実演収録禁止条項(注)の規定について
・実演収録禁止条項を定める目的から必要性等があると認められる場合であっても、禁止する対象や期間を、当該目的のために必要かつ相当な範囲に限定すること
(注)契約終了後の一定期間、実演家による当該レコード会社以外における収録のための実演(原盤制作、配信等)を行うことを禁止する条項のこと
●再録禁止条項について
・長期間の契約期間中にリリースされた楽曲について一律に契約終了時点から再録を禁止するのではなく、合理的な範囲での投資の回収や合理的な範囲での収益の確保という目的のために必要な楽曲についてのみ再録禁止条項の対象とし、当該目的のために必要かつ相当な期間を設定すること
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。