改正公益通報者保護法により事業者がとるべき措置に関する改正告示(案)のパブリックコメント募集が行われています
11月10日、消費者庁は、改正公益通報者保護法により事業者がとるべき措置に関する改正告示(案)のパブリックコメント募集を開始しました。
改正公益通報者保護法(令和7年法律第62号)では、次のような項目の改正が行われており、一部を除き公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日より施行することとされています。
1 事業者が公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上
2 公益通報者の範囲拡大
3 公益通報を阻害する要因への対処
4 公益通報を理由とする不利益な取扱いの抑止・救済の強化
案では、上記を受けて次のような規定が新設されています(改正前から記載箇所を移動したものを含みます)。
●第2 用語の説明
「特定受託業務従事者」とは、法第2条第1項に定める「特定受託業務従事者」をいい、その者の同項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者をいう。
「特定受託業務従事者であった者」とは、「特定受託業務従事者」であった者をいい、その者の法第2条第1項に定める「役務提供先等」への通報が内部公益通報となり得る者(その者の同項に定める「役務提供先」が同項第3号又は第4号に定める事業者である者(労働者等、退職者又は特定受託業務従事者を除く。))をいう。
「通報妨害」とは、法第11条の2第1項に定める、公益通報をしない旨の合意をすることを求めること、公益通報をした場合に不利益な取扱いをすることを告げることその他の行為(以下「通報妨害行為」という。)によって、公益通報を妨げることをいう。
●第4 内部公益通報対応体制の整備、労働者等に対するその周知その他の必要な措置(法第11条第2項関係)
法第11条の2第1項の規定による正当な理由がある場合を除いて、事業者の労働者及び役員等が通報妨害行為を行うことを防ぐための措置をとる。
(3) 労働者等に対する周知に関する措置等
労働者等、役員、退職者並びに特定受託業務従事者及び特定受託業務従事者であった者に対し、法及び以下の事項(退職者及び特定受託業務従事者であった者については、チを除く。)について周知・啓発を行う。
イ 内部公益通報受付窓口の設置に関する事項並びに連絡先及び連絡方法
ロ 組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置の内容
ハ 公益通報対応業務の実施に関する措置の内容
ニ 公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置の内容
ホ 不利益な取扱いの防止に関する措置の内容
ヘ 範囲外共有、通報妨害及び通報者探索の防止に関する措置の内容
ト 是正措置等の通知に関する措置の内容
チ 記録の保管、見直し・改善及び運用実績の労働者等、特定受託業務従事者及び役員への開示に関する措置の内容
リ 公益通報に係る通報対象事実についての調査への協力に関する事項
(4) 労働者等からの質問・相談への対応等に関する措置
労働者等、役員、退職者並びに特定受託業務従事者及び特定受託業務従事者であった者から寄せられる、内部公益通報対応体制の仕組みや不利益な取扱いに関する質問・相談に対応する。
(5) 従事者に対する教育に関する措置
従事者に対しては、公益通報対応業務の内容及び公益通報者を特定させる事項の取扱いについて、特に十分に教育を行う。
また、不利益取扱いの定義に関する規定は、次のように見直されています。
(改正前)
「不利益な取扱い」とは、公益通報をしたことを理由として、当該公益通報者に対して行う解雇その他不利益な取扱いをいう。
(改正後)
「不利益な取扱い」とは、法第3条第1項、第4条第1項、第5条及び第6条第1項の規定により禁止される行為の総称をいい、公益通報をしたことを理由としてされた、例えば、次に掲げるものが該当する。
・ 地位の得喪に関すること(解雇、退職の強要、正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要、期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと、あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に当該回数を引き下げること、本採用・再採用の拒否、懲戒解雇、休職、労働者派遣契約の解除、業務委託に係る契約の解除等)
・ 人事上の取扱いに関すること(降格、不利益な配置の変更・出向・転籍・長期出張等の命令、昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと、不利益な自宅待機を命ずること、けん責等の懲戒処分、派遣労働者として就業する者について派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと、公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めること等)
・ 経済待遇上の取扱いに関すること(減給、賞与・一時金・退職金等において不利益な算定を行うこと、業務委託に係る取引の数量の削減、業務委託に係る取引の停止、業務委託に係る報酬の減額、役員報酬の減額等)
・ 精神上・生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ等)
規定の見直しについては、上記以外にもありますが、ここでは主なものとして上記を取り上げています。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。