事業譲渡等指針の見直しに関する検討が行われています
10月17日、第5回労働政策審議会(労働条件分科会「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」)が開催され、事業性融資推進法の施行に向けた事業譲渡等指針の見直しに関する検討が行われました。
事業性融資推進法(『事業性融資の推進等に関する法律』令和6年法律第52号。令和8年5月25日施行)では、事業者が、不動産担保や経営者保証等によらず、事業の実態や将来性に着目した融資を受けやすくなるよう、企業価値担保権が創設され、担保権実行時には、企業価値を損うことがないよう、事業継続に不可欠な費用(商取引債権・労働債権等)について優先的に弁済し、事業譲渡の対価を融資の返済に充てる等が規定されています。
また、ガイドラインには次のように示されています。
(担保目的財産の換価の方法について)
企業価値担保権の実行においては、事業を解体せず雇用を維持しつつ承継することが原則となる(法においても、「担保目的財産の換価は、裁判所の許可を得て、営業又は事業の譲渡によってする。」(法第157条第1項)と定められており、個別財産の換価は、事業の譲渡が困難である場合における例外となっている(同条第2項))。このように、企業価値担保権の実行方法を事業そのものを承継させるものとすることは、事業価値を維持するのみならず、労働者の雇用の継続にもつながるものとなる。こうしたことも踏まえると、企業価値担保権の実行にあたっては、管財人には、事業譲渡の金額の多寡のみを問題にするのではなく、雇用の維持や取引関係の維持、その他多様な事情を考慮して最も適切な承継先を選定することが求められると考えられる。
本部会は、上記のような特徴を有する企業価値担保権について定める本法の施行に向けて、現行の事業譲渡等指針(『事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針』平成28年厚生労働省告示第318号)の見直しに関する検討を行うために3月に設置され、これまで、企業組織の再編に伴う労働者保護に関する諸問題の実態把握等を行ってきました。
第5回目では、事業譲渡等指針の必要な見直しの方向性として次の点に関する案が示されました。
● 管財人に関する基本的な考え方
● 管財人と労働組合等とのコミュニケーション
● 管財人と労働組合等および個々の労働者とのコミュニケーションにおける対象事項
● 事業譲渡にあたって留意すべきと考えられる事項
● 労働契約の承継に関する考え方
● 買受人の選定に際しての考慮要素
● 会社が行うことが望ましい事項
● 企業価値担保権者や特定被担保債権者に関する基本的な考え方
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。