高額療養費制度の見直しに向けた議論が始まりました
10月21日、第5回「高額療養費制度の在り方に関する専門委員会」が開催され、同制度の見直しに向けた議論が始まりました。
同制度の見直しをめぐっては、9月16日に同委員会が示した論点案を踏まえて社会保障審議会医療保険部会において検討が行われ、10月2日、次の4つの視点で議論を進めることとされました。
1 世代内、世代間の公平をより確保し全世代型社会保障の構築を一層進める視点
2 高度な医療を取り入れつつセーフティネット機能を確保し命を守る仕組みを持続可能とする視点
3 現役世代からの予防・健康づくりや出産等の次世代支援を進める視点
4 患者にとって必要な医療を提供しつつ、より効率的な給付とする視点
委員会では、令和7年冬に議論を取りまとめるスケジュールとなっています。
第5回目では、上記を受けて次の3つに関する議論が行われました。
【高齢化の進展や医療の高度化等により増大する医療費への対応】
・自己負担限度額について一定の見直しは必要ではないかという意見、制度を見直す際は、仮のモデルを設定した負担のイメージやデータを踏まえる必要があるといった意見を踏まえ、高齢化の進展や医療の高度化等により今後とも増大が見込まれる医療費への対応として、高額療養費の負担の在り方をどのように考えるか。
【年齢にかかわらない負担能力に応じた負担】
・70歳以上の高齢者のみに設けられている外来特例の在り方についてどのように考えるか。
・現行制度において大括りとなっている所得区分の在り方に関する意見があった一方、給付面の応能負担をこれ以上強めることは制度への納得性を損なうこととなるといった意見もあった点を踏まえ、所得区分の在り方についてどのように考えるか。
【セーフティネット機能としての高額療養費制度の在り方】
・高額療養費制度を将来にわたり維持していく観点から、仮に自己負担限度額の見直しを行っていく場合であっても、患者(特に、現行制度においても医療費負担が重くなっていると考えられる長期にわたって継続して治療を受けられる方や所得が低い方)の経済的負担に配慮したセーフティネット機能の在り方として、どのように考えるか。
なお、資料では下記に関する30歳代~60歳代の患者の年間の医療費負担の例が、家計調査の結果(注)とともに示されています。
(注)総務省「家計調査」(2024)における世帯支出(2人以上勤労者世帯)を各年収階級ごとにを12倍して年間換算したもの
・胃がん(40歳代・男性・標報30万円(年収約410万円))
・胃がん(50歳代・男性・標報38万円(年収約550万円))
・胃がん(60歳代・男性・標報15万円(年収200万円未満))
・乳がん(40歳代・女性・標報32万円(年収約450万円))
・乳がん(40歳代・女性・標報41万円(年収約600万円))
・乳がん(40歳代・女性・標報15万円(年収約200万円未満))
・白血病(30歳代・男性・標報24万円(年収約320万円))
・白血病(40歳代・女性・標報34万円(年収約480万円))
・白血病(20歳代・女性・標報15万円(年収約200万円未満))
・アトピー性皮膚炎(20歳代・女性・標報20万円(年収約260万円))
・アトピー性皮膚炎(30歳代・男性・標報32万円(年収約450万円))
・アトピー性皮膚炎(30歳代・男性・標報15万円(年収約200万円未満))
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。