トラック運送業の適正原価に関する議論が始まりました
7月17日、第1回適正原価の設定に向けた有識者検討会が開催され、トラック運送業の適正原価に関する議論が始まりました。
トラック運送業においては、令和7年6月に「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和7年法律第60号)」および「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律(令和7年法律第61号)」(以下、あわせて「トラック適正化二法」といいます)が成立・公布されており、公布から3年以内に、事業者が自ら貨物を運ぶときや、他の事業者等に運送を委託するときは、国土交通大臣が定める「適正原価」を継続して下回らないようにしなければならなくなります。
現在のトラック運送業は、令和6年3月に行われた「標準的運賃」等の見直しにより、運賃交渉を行う事業者が7割を超えているものの、コスト上昇分の価格転嫁が難しい状況にあり、トラックドライバーの賃金は全産業平均には及んでいません。その要因として、事業者間の力関係や、中抜きを当然視する商慣行、安価で条件の悪い仕事を引き受ける事業者の存在等が挙げられています。
トラック適正化二法は、トラックドライバーの適切な賃金の確保とトラック運送業界の質の向上等を目的として制定され、その一つにトラック運送業への適正原価の導入があり、本検討会は、適正原価の適切な設定に向けた論点整理と方向性について議論を行うために設置されました。
資料によれば、適正原価の算定式のイメージは下記のように示されています。
適正原価=運賃原価+委託手数料+料金原価+燃料サーチャージ+実費
=時間当たり固定費×総稼働時間+キロ当たり変動費×総走行距離
+委託手数料率×傭車に委託した運送の運賃原価
+時間当たり料金×総稼働時間
+(燃料価格-基準価格)×使用量
+実費
上記の固定費には、減価償却費や全産業の労働者一人当たりの賃金の額の平均額を踏まえた人件費(社会保険料や福利厚生費等の経費を含む)、公租公課が含まれ、現在の標準的運賃もこれにより算出されていますが、新たに設定する適正原価では、次の2つを加える案となっています。
●輸送の安全確保のために必要な経費
→ 価格競争等により安全確保に係る取組の実施が阻害されないよう、適正原価において安全確保のための費用を独立の構成要素として盛り込んだもの
→ トラック事業者が輸送の安全を確保するために最低限必要となる費用であると解され、関係法令の遵守に要する費用(点検・車検費、講習費用等)に加えて、法令上すべての事業者に義務付けられているわけではないものの、安全確保に欠かせない費用(任意保険、ドラレコ、デジタコ等)も含まれるもの
●事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資
→ 貨物自動車運送事業法上の許可基準を継続的に充足する観点から要請される投資(=任意の拡張的投資ではない)に充てる資金
→ 将来にわたる事業継続のため経常的に必要となるもの(人材確保・育成、労働環境改善、BCPに係る投資等)
今後は、同日示された3つの論点を踏まえて議論が行われ、2026年12月に提言案を提示・とりまとめる予定とされています。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。