6月7日、令和4年第8回経済財政諮問会議が開催され、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」と「経済財政運営と改革の基本方針 2022」(以下、「骨太の方針」といいます)とが示されました。
全体の構成は次の7項目となっています。
Ⅰ.資本主義のバージョンアップに向けて
Ⅱ.新しい資本主義を実現する上での考え方
Ⅲ.新しい資本主義に
Ⅳ.社会的課題を解決する経済社会システムの構築向けた計画的な重点投資
Ⅴ.経済社会の多極集中化
Ⅵ.個別分野の取組
Ⅶ.新しい資本主義実現に向けた枠組み
ここでは、企業実務や社会保障制度に関する内容について、6月2日に取り上げた「骨太の方針」原案では示されていなかった項目や、より詳しい内容が示されている項目をピックアップして紹介します。
【介護・障害福祉職員、保育士等の処遇改善のための公的価格の更なる見直し】
・今後の具体的な処遇改善の方向性については、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、職種ごとに仕事の内容に比して適正な水準まで収入が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討する。
・看護師の今後の処遇改善については、今回の措置の結果も踏まえつつ、すべての職場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の在り方について検討する。
・これらの結果に基づき、引き続き、処遇改善に取り組む。
【副業・兼業の拡大】
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、企業に副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、情報開示を行うことを企業に推奨する。
【貯蓄から投資のための「資産所得倍増プラン」の策定】
本年4月に導入した公的年金シミュレーターと民間アプリとの連携を図り、私的年金や民間の保険等を合わせた全体の見える化を進める。
【健康経営の推進】
企業と保険者が連携して健康経営を推進するとともに、そのスコアリングの方法等を見直す。
【多様性の尊重】
同一労働同一賃金制度の徹底とともに、短時間正社員制度、勤務地限定正社員制度、職種・職務限定正社員制度といった多様な正社員制度の導入拡大を、産業界に働きかけていく。また、女性・若者等の多様な人材の役員等への登用、サバティカル休暇の導入やスタートアップへの出向等の企業組織の変革に向けた取組を促進する。
【男女間の賃金差異の開示義務化】
・本年夏に女性活躍推進法の省令改正を実施し、義務化を行う。
・初回の開示は、他の情報開示項目とあわせて、本年7月の施行後に締まる事業年度の実績を開示する。
・情報開示は、連結ベースではなく、企業単体ごとに求める。ホールディングス(持株会社)も、当該企業について開示を行う。
・男女の賃金の差異は、全労働者について、絶対額ではなく、男性の賃金に対する女性の賃金の割合で開示を求めることとする。加えて、同様の割合を正規・非正規雇用に分けて、開示を求める。
(注)現在の開示項目として、女性労働者の割合等について、企業の判断で、更に細かい雇用管理区分(正規雇用を更に正社員と勤務地限定社員に分ける等)で開示している場合があるが、男女の賃金の割合について、当該区分についても開示することは当然、可能とする。
・男女の賃金の差異の開示に際し、説明を追記したい企業のために、説明欄を設ける。
・対象事業主は、常時雇用する労働者301人以上の事業主とする。101人~300人の事業主については、その施行後の状況等を踏まえ、検討を行う。
・金融商品取引法に基づく有価証券報告書の記載事項にも、女性活躍推進法に基づく開示の記載と同様のものを開示するよう求める。
【従業員を雇わない創業形態であるフリーランスの取引適正化法制の整備】
下請代金支払遅延等防止法といった旧来の中小企業法制では対象とならないフリーランスが多く、相談体制の充実を図るとともに、取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出する。
【マイナンバーカードの普及】
健康保険証としての利用や運転免許証との一体化、スマートフォンへの機能搭載等により、国民の利便性の向上を図るとともに、国際標準のセキュリティ認証を取得したシステム面でのセキュリティ対策の安全性やメリットの周知を通じて、その普及を加速する。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。