令和8年度税制改正大綱が公表されました
12月19日、自民、日本維新の会両党が令和8年度税制改正大綱を公表しました。
物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設等を含む主要項目および今後の税制改正にあたっての基本的考え方が、「第一 令和8年度税制改正の基本的考え方」で示されているので、主なものを紹介します。
●物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みの創設
→ 基礎控除の本則部分については、見直し前の控除額に、税制改正時における直近2年間の消費者物価指数(総合)の上昇率を乗ずることで調整する
→ 給与所得控除の最低保障額についても、基礎控除の本則と同様の措置を講ずる
→ 源泉徴収義務者等の事務負担に配慮し、見直しの結果、控除額に端数が生ずる場合には万円単位で調整するとともに、見直し初年は、月次の源泉徴収等では対応せず年末調整からの対応とする
→ 令和8年度税制改正においては、基礎控除の本則については現行58万円を62万円に、給与所得控除の最低保障額については現行65万円を69万円にそれぞれ引き上げる
→ 個人住民税については、令和8年度税制改正においては、給与所得控除の見直しについて対応することとする
●「三党合意」を踏まえたさらなる対応
→ 基礎控除の特例は、今後も生活保護基準額を勘案して見直していくことを基本とする
→ その上で、就業調整に対応するとともに、中低所得者に配慮して、課税最低限を「178万円」に先取りして引き上げる
→ 具体的には、基礎控除等の引上げ後の課税最低限168万円と「178万円」との差である10万円について、
・基礎控除の特例のうち現行37万円を5万円引き上げるとともに、対象者も給与収入200万円相当までから475万円相当までに拡大する
・給与所得控除の最低保障額も同様に5万円引き上げる
さらに、給与収入475万円相当から665万円相当までを対象としている現行10万円の基礎控除の特例を32万円引き上げる。
→ 「「三党合意」を踏まえたさらなる対応」は、令和8年·9年の時限措置として講ずる
→ 今後、生活保護基準額が178万円に達するまでは、課税最低限178万円を維持しつつ、物価連動による基礎控除の本則部分と給与所得控除の最低保障額の引上げに応じて、同額を特例措置からそれぞれ振り替えていく
●税制上の基準額の点検·見直し
→ 食事支給やマイカー通勤の通勤手当に係る所得税非課税限度額、中小企業者等が取得時に全額損金算入できる減価償却資産の取得価額、厚生農業協同組合連合会が行う医療保健業における差額ベッド料金等の基準額を引き上げる
●賃上げ促進税制
→ 大企業向けは、適用期限を待たずに廃止する。中堅企業向けは、令和8年度においてはより高い賃上げを促す方向で要件を強化しつつ継続し、適用期限をもって廃止する
→ 中小企業向けは、令和8年度は現行制度を維持することとし、期限到来時に適用状況等を踏まえ、必要な見直しを検討する
→ 教育訓練費を増加させた場合の上乗せ要件については、会計検査院の指摘を踏まえ、廃止する
●ひとり親控除の拡充
→ 所得税の控除額について、現行の35万円を38万円に引き上げる。個人住民税の控除額について、現行の30万円を33万円に引き上げる
→ 令和9年分の所得税および令和10年度分の個人住民税から適用する
●高校生年代の扶養控除等の見直し
→ 令和9年分の所得税および令和10年度分の個人住民税における取扱いについては現行制度を維持する
→ その上で、児童手当制度や高校無償化、奨学金制度等の歳出面を含めた政策全体での対応も勘案しつつ、人的控除をはじめとする各種控除のあり方について検討を行い、結論を得る
●国外居住親族に係る扶養控除等
→ 令和2年度税制改正における見直しの施行から3年が経過し、実効性を検証するため実態調査を行い、結果を踏まえ、適正化に向けた税制上の措置を検討する
●極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し
→ 令和5年度税制改正で導入した措置について、見直しを行う
→ 追加の税負担を計算する基礎となる基準所得金額から控除する特別控除額(現行3.3億円)を1.65億円に引き下げ、税率(現行22.5%)を30%に引き上げる
→ 本見直しは、令和9年分の所得税から適用する
●新たにインボイス発行事業者となった小規模事業者の税額控除に関する経過措置
→ いわゆる2割特例の終了後は、簡易課税制度への移行が原則となるが、個人事業者については、課税事業者を選択してインボイス発行事業者になっている場合には、これまで2割特例の対象となっている個人事業者も含め、その納税額を売上税額の3割とすることができる経過措置を2年に限り講ずる
●免税事業者等からの課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置
→ 本経過措置は段階的に縮減することとするが、その最終的な適用期限を2年延長した上で、控除ができる割合については、令和8年10月からは7割、令和10年10月からは5割、令和12年10月からは3割と段階的に縮減していき、令和13年9月末をもってその適用を終了する
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。