障害者雇用促進法の改正に向けた議論が始まりました
4月22日、第137回労働政策審議会障害者雇用分科会が開催され、障害者雇用促進法の改正に向けた議論が始まりました。
令和8年4月時点の議題案として、次の6つが挙げられています。
●精神・発達障害者の雇用率算定の在り方
●障害者雇用の「質」の向上に向けて
●いわゆる「障害者雇用ビジネス」への対応
●手帳を所持しない難病患者の位置づけ
●就労継続支援A型事業所の位置付け
●100人以下企業への納付金の納付義務適用拡大
これらは、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(令和8年2月6日。以下、「報告書」といいます)によって示された課題で、次の方向性に沿って議論が行われます。
●精神・発達障害者の雇用率算定の在り方
・報告書には「精神・発達障害者の雇用率算定の在り方」に関する直接的な言及はなく、下記2項目が示されている
・精神障害者について障害者雇用率制度における「重度」区分を設けること
→ 「重度」区分を設けることは適当とはいえず、現行制度の運用を維持する
・精神障害者である短時間労働者の算定特例
→ 特例措置ではなく恒久化を考えるべきとの意見があった一方で、当該特例措置制度開始後まだ日が浅く、定着促進の政策効果が十分に見定められない状況でもあり、当分の間制度の運用を維持した上で、恒久化の要否については引き続き検討する
●障害者雇用の「質」の向上に向けて
・ガイドライン等の創設
→ 「質」として重視すべき要素を示すガイドライン等の根拠および内容を法令上に規定することが必要であり、これにより企業における取組みを推進していく方向で検討を深めていく
→ 「質」として重視すべき要素について、障害者雇用状況報告(6.1報告)において、一定の項目の報告を求め、実態を把握することが有効
→ 法定雇用率達成と「質」の両方を同時に達成することは非常にハードルが高い中小企業には、「障害者雇用相談援助事業」をより効果的なものとしていくことを含め、検討する
・事業主認定制度の拡大、認定に対するインセンティブの在り方等
→ 常用労働者300人以下の中小企業等を対象とする「もにす認定制度」について、大企業を含むすべての企業を新たに認定制度の対象とした上で、認定基準等を改めて見直す
→ 大企業と中小企業に異なる認定基準を設定する必要があり、既に「もにす認定」を受けた企業に対する影響等を併せて検討する
●いわゆる「障害者雇用ビジネス」への対応
・利用企業による報告
→ 障害者雇用状況報告(6.1報告)において、「障害者雇用ビジネス」を使用している場合は、一定の項目(就業場所、ビジネス事業者の情報、障害者が従事する業務内容、利用予定期間等の適正な雇用管理に係る情報)の報告を求めることにより、行政庁において網羅的に把握可能とし、必要な指導監督が行い得るようにする
→ 「障害者雇用ビジネス」の業態等に関する実態把握を更に進めた上で、より明確な定義付けに向けた検討を進めるとともに、利用企業側の負担を併せて考慮しながら、議論を進めていくことが必要
・ガイドラインの創設
→ 一定の資格者等の配置、スタッフに対する教育訓練等の実施、利用企業に提供する支援メニュー、ガイドラインに沿った運営を行っている旨の定期的な情報開示、を内容とするガイドラインを策定する
→ 利用企業向けに、ガイドラインに沿っていない運営を行う事業者の利用は望ましくない旨等を示す
→ 「障害者雇用ビジネス」の定義や、問題があると判断される本質的要素の検討を進めるとともに、就労する障害者のために望まれる措置の内容の検討を含め、議論を進める
●手帳を所持しない難病患者の位置付け
・就労困難性のある難病患者の個別判定制度の創設および実雇用率算定
→ 引き続き丁寧に議論を進める
・手帳を所持していない精神・発達障害者の位置付け
→ 手帳を所持しない者を別途の基準を用いて雇用率制度の対象とする必要性・合理性は高いとは言えず、雇用率の対象を精神障害者保健福祉手帳の所持者とする現行の仕組みを維持する
→ その上で、手帳取得に抵抗感がある者や手帳取得方法の理解が十分でない者への丁寧な説明や相談支援、手帳の有無にかかわらない本人の働きづらさに対する支援や合理的配慮の必要性に対する職場の理解促進が重要
・精神障害者保健福祉手帳の更新ができなかった場合における雇用率の算定
→ 一定の場合、一定期間は引き続き対象障害者として取り扱う等制度上の取扱いを検討し、その上で「一定期間」について議論を進める
●就労継続支援A型事業所の位置付け
→ 通常の事業所に雇用されることが困難な方の就労の受け皿や一般就労への移行支援といったA型事業所が果たすべき役割について、労働施策・福祉施策両面からの検討の上で判断
●100人以下企業への納付金の納付義務適用拡大
→ 常用労働者100人以下の事業主に対しても、納付金の納付義務の適用拡大を行うことを通じ、障害者雇用義務の意識を強化することにより、当該企業規模の事業主における障害者雇用を促進する方向性で検討を深めるべき
→ 併せて、障害者雇用ゼロ企業等に対する雇用に向けた支援や雇用後の定着支援を中心に、中小企業に対する企業支援機能を一層強化する具体的方法を検討していくことが必要
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