薬局のカスハラ問題に関する通達が発出されました
7月8日、厚生労働省は、薬局のカスハラ問題に関する通達「薬剤師の調剤応需義務等について」(令和8年7月8日医薬発0708第1号)を発出しました。
薬剤師法においては、「調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、これを拒んではならない」と公法上の義務として「調剤応需義務」が規定されており、関連通達「薬局業務運営ガイドラインについて」(平成5年4月30日付け薬発第408号厚生省薬務局長通知)等において、その解釈が示されています。
他方、カスタマーハラスメント問題に関連し、調剤応需義務に対する解釈について改めて整理の必要性があることが指摘されており、令和7年には報告書が取りまとめられ、今般の通達では、報告書の内容を踏まえて、どのような場合に調剤等の求めに応じないことが正当化されるか否か、次の2つの考え方に関する整理が示されています。
●薬剤師法21条に規定する調剤の応需義務について、正当な理由により調剤の求めを拒否できる場合の考え方
●調剤応需義務が認められたとしてもなお、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法」)に規定される調剤された薬剤の販売・授与に際しての情報提供および指導等に関する義務との関係で、適正な使用を確保することができないと認められるために薬剤の販売・授与を拒否することが正当化される場合の考え方
次のような構成となっています。
第1 基本的考え方
第2 調剤の求めを拒否できる判断の枠組み(薬剤師法第21条の「正当な理由」に該当するもの)
1 調剤の求めを拒否できる「正当な理由」の考え方
(1)薬局におけるカスタマーハラスメントへの該当性
(2)信頼関係の喪失の有無
2 調剤の求めを拒否できる正当な理由として考えられる事例の整理
(1)薬局におけるカスタマーハラスメント以外の拒否事由
(2)薬局におけるカスタマーハラスメント起因の拒否事由
第3 調剤された薬剤の販売・授与を拒否すべき判断の枠組み
1 薬剤の提供(販売・授与)をしてはならない判断の枠組み
2 薬剤の提供(販売・授与)をしてはならないと考えられる事例の整理
上記第2の1では、次のように判断基準が示されています。
薬剤師業務における調剤の求めに応じないことが正当化されるかの判断基準については、調剤応需義務の範囲および安全な薬剤の提供の枠組みを踏まえ、個々の事例に応じた総合的な判断を基本とする。重要な考慮要素としては、患者についての緊急対応の要否(病状の深刻度)の他、調剤を求められた時間帯や患者と薬局・薬剤師の信頼関係が挙げられ、これらの要素を鑑みた上で、薬剤師が調剤の求めを拒否することが不当でないと認めるべき理由があるか否かを総合的に判断すること。
(中略)
(1)薬局におけるカスタマーハラスメントへの該当性
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号。以下「労働施策総合推進法」という。)に規定する職場におけるカスタマーハラスメントと同様の要件で、「顧客等の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害される」行為か否かで判断する。
(2)信頼関係の喪失の有無
第2の1(1)を踏まえ薬局におけるカスタマーハラスメントに該当した場合であっても、薬剤師による調剤の基礎となる患者との信頼関係が、迷惑行為の態様に照らして既に失われていると認められるか否かで判断する。(例:調剤行為そのものと関係ないクレーム等の迷惑行為が続き、警告書の発出や複数名での説得を行ったにもかかわらず、迷惑行為が継続又は改善されない場合等)
なお、信頼関係の喪失の有無の判断にあたって、精神疾患等の背景がある場合には、別途、医療機関や行政等との適切な確認・連携の上での判断が必要な場合もあり得る。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。