障害者雇用の「質」に関する議論が行われました
7月24日、第140回労働政策審議会障害者雇用分科会が開催され、障害者雇用の「質」に関する議論が行われました。
同分科会では、障害者雇用促進法の改正に向けた議論を行っており、次の6つが議題となっています。
●精神・発達障害者の雇用率算定の在り方
●障害者雇用の「質」の向上に向けて
●いわゆる「障害者雇用ビジネス」への対応
●手帳を所持しない難病患者の位置づけ
●就労継続支援A型事業所の位置付け
●100人以下企業への納付金の納付義務適用拡大
このうち、障害者雇用の「質」に関しては、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会報告書」(令和8年2月6日。以下、「報告書」といいます)によって示された次の方向性で議論を行うこととされていました。
●ガイドライン等の創設
●事業主認定制度の拡大、認定に対するインセンティブの在り方等
24日の議論では、次の4つが論点として示されました。
【障害者雇用の「質」の向上を通じて「目指す姿」・特に重視されるべき要素】
●目指す姿
→ 障害者雇用促進法の目的である障害者の「職業の安定」を図ることを、「雇用関係」の本質(労務提供の対価として賃金を支払う契約関係)に立ち返り、企業等の事業活動の中で持続可能なものとして達成していくためには
1.事業主にとっては、雇用する障害者の能力発揮を十分に引き出し、事業活動において有為に活用すること(戦力化・活躍促進)
2.雇用される障害者にとっては、自身の持てる能力を高め、十分に活かし、事業活動に対して貢献できること、またそれを実感できること(成長・やりがい・貢献実感)
が重要であり、それらは表裏の関係性にあると考えられるのではないか
●特に重視されるべき要素
→ 報告書において提示された①~⑤に加え、⑥を位置付けることが考えられるか
①能力発揮の十分な促進
②能力発揮の成果の事業活動への十分な活用
③適正な雇用管理/障害特性に配慮した働きやすさを高める措置
④発揮した能力に対する正当な評価とその反映
⑤雇用の安定
⑥経営層の理解の下で組織的・継続的に取り組むための体制整備
→ 「障害特性に配慮した働きやすさを高める措置」とる「合理的配慮」との関係性については、実務的には同じ取組みとなるケースが多いと想定されるが、前者は支障となっている事情の改善を超えて、さらに能力発揮を高めていく措置を含めた概念として、障害のある労働者と職場(上司等)のサポート体制(上司以外の相談支援体制含む)を含めて検討してはどうか
→ いわゆる「障害者雇用ビジネス」に対するガイドラインとの関係性については、密接に関わるものであることから、一体的、あるいは、内容において十分に整合性が図られるよう検討する必要があるのではないか
→ 認定基準の在り方の見直しに際しては、障害者雇用の「質」のガイドラインに沿う形で評価指標を再構築することが必要ではないか
【ガイドラインの法的位置付け・性質】
→ 現行の障害者雇用促進法5条の規定をベースとし、障害者雇用の「質」として特に重視すべき要素(の例示)を記載しつつ、必要な措置の実施に努めるべき旨の努力義務として規定した上で、事業主が効果的・適切に取組みを進めるために示すものとして、ガイドライン(告示)の根拠規定を設け、
→ ガイドライン(告示)においては、「質」として特に重視すべき要素それぞれについて、効果的な取組み手法例を示し、それらを参考に、各事業主の実情に応じて必要な取組みを検討(事業主の規模により実施可能な取組みが異なることがある点も十分に踏まえながら検討)する方向性で検討してはどうか
→ 加えて、事業主が取組みを進めるに際しての企業支援の在り方を併せてするとともに、施行に際し必要があると認める場合における報告徴収・指導・助言・勧告の規定の対象とすることとしてはどうか
【認定制度の拡大・認定基準の見直しの方向性】
→ 特に重視されるべき要素については、それぞれ1つ以上達成必須項目を設け、評価が可能なものについてはできる限り定量的指標とする
→ 多段階(例えば3段階程度)とし、必須項目に関する定量指標についてより高い水準とすることや、必須項目以外の「質」を高める上で望ましい取組みについて勘案する方向で検討してはどうか
→ 認定後の検証の仕組みとしては、取組み実績を所定のHP等へ公表することを認定要件とした上で、認定取得後に公表した実績が認定要件を満たさない状態が一定期間続いた場合、または実績の公表が一定期間ない場合、認定を取り消す扱いとしてはどうか
→ 認定基準のレベルを企業規模で異ならせることは、信頼性に課題を生じさせる懸念もあることから、基本的に共通の認定基準とするものの、具体的な認定基準を検討する際は、企業規模による取組み方法の違いを意識し、中小規模企業が不利にならないよう十分考慮して設計することとしてはどうか
→ 現行の「もにす認定」取得企業に対しては、施行後しばらくは従前に取得した認定を有効とした上で、一定期間内に新基準に基づく認定申請を行う方向で検討してはどうか
【認定取得に向けたインセンティブの在り方】
→ 経済的なインセンティブ付与について、研究会報告書のとりまとめ以後、現場企業関係者等の率直な声として調整金・報奨金や、助成金などでインセンティブを設けることの政策効果の評価は必ずしも高くない面がある一方、雇用率算定におけるインセンティブ付与については、雇用の「量」を減少させる等の課題を勘案をすると、企業価値向上と求人充足支援の積極的実施によるインセンティブ付与を模索することも考えられるか
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