「日本成長戦略会議 労働市場改革分科会 とりまとめ(案)」が示されました
5月27日、政府の日本成長戦略会議の下に設置されている労働市場改革分科会の第4回目が開催され、とりまとめ案が示されました。
同分科会では、以下の課題の解決に向けた取組みを進めていくことが重要であるとの意見が示されました。
・ 人的資本投資の促進
・ 社会を支える社会インフラ関連職の確保や労働生産性の向上
・ 労働者の希望に応じた円滑な労働移動の促進
・ 柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等
・ さらなる労働参加の促進やスキルと能力を十分に発揮できる環境の整備
・ 企業の人材マネジメントへの支援
これらを踏まえた労働市場改革の方向性について、次の4つを柱としてまとめられています。
1 処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性の向上
2 労働者の希望に応じた円滑な労働移動の促進
3 多様な人材の労働参加の推進
4 中小企業をはじめとした、企業の人材マネジメントへの支援
具体的には、次のような内容が示されています。ここでは、主な内容を紹介します。
1 処遇向上に向けたリ・スキリング支援や労働生産性の向上
(1)戦略的なリ・スキリングの推進等
●戦略的なリ・スキリングの推進
→ 17の戦略分野等の所管省庁と厚生労働省、経済産業省、文部科学省が、業界団体や大学等と連携し、求められるスキルの標準化・可視化や教育訓練体系の整備に取り組むとともに、教育訓練プログラムを開発する
→ 教育訓練プログラムについて、所管省庁と厚生労働省が連携して精査した上で、専門実践・特定一般教育訓練給付金の対象とすることを検討する
→ 賃金上昇や処遇改善に資するリ・スキリングを支援するため、教育訓練給付金の指定講座の効果把握や申請・審査プロセスについて検討した上で、教育訓練給付金および申請手続の効率化を含めた人材開発支援助成金の見直しや支援の重点化について検討する
●リ・スキリング機会へのアクセス向上
→ 事業主等に対し、教育訓練休暇制度等の周知、人材開発支援助成金の活用による教育訓練休暇制度の導入支援、教育訓練休暇給付金制度の活用促進等を推進する
→ 非正規雇用労働者等が働きながら学びやすいオンラインを活用した職業訓練を推進するほか、ミドルシニア層を含めたOJTとOFF-JTを効果的に組み合わせた実践的な職業訓練機会の確保を進める
→ 「全世代型リ・スキリング国民運動」を展開する
(2)社会インフラ関連分野の労働生産性の向上、担い手の確保
●人材育成も含めた労働生産性向上に向けた取組み
→ 社会インフラ関連分野の労働生産性向上やいわゆる「アドバンスト・エッセンシャルワーカー」の育成・確保に向けて、労働生産性向上のための設備投資などの関連施策と連携をしつつ、教育訓練プログラムの開発、訓練受講のための支援、専門学校の教育の高度化支援を図る
→ 関係省庁と連携の上、好事例や支援ツールの収集・整理を行うとともに、ハローワーク等の労働関係機関や中小企業団体などにおける活用を図る
●地域で必要となるサービスの担い手の確保に向けた取組み
→ 医療・福祉等の分野の社会インフラ関連職のマッチング支援等の取組みについて、すべてのハローワークの最重点事項と位置付けて、職員が医療機関や介護施設等を訪問し、アドバイスを行うとともに、就職面接会等の開催や求職者への迅速な求人情報提供を行うなど、取組みをさらに強化する
→ 民間職業紹介の「見える化」に取り組む
2 労働者の希望に応じた円滑な労働移動の促進
●労働力希少社会に対応したセーフティネットの在り方の検討
→ 雇用保険制度における対応の在り方について、令和8年末を目途に結論が得られるよう引き続き労働政策審議会において検討する
●労働者の希望に応じた円滑な労働移動を実現するためのマッチング機能の強化
→ 17の戦略分野等の成長分野への円滑な労働移動のため、雇用関係助成金により労働者のリ・スキリングの支援等を希望する事業主が、必要な支援策を活用しやすくなるよう、申請書類等の削減に加えて雇用関係助成金のDXを進め、申請時等の負担軽減を図る
3 多様な人材の労働参加の推進
(1)柔軟で多様な働き方の実現に向けた労働時間法制等
●労働時間法制等に係る政策対応の在り方
→ 夏以降の労働政策審議会において、議論を行う
・上限規制を維持し、長時間労働の是正を図るとともに、労働生産性向上を促し、併せて多様な人材の労働参加を可能とすることが重要
・裁量労働制については、健康確保、長時間労働防止、適切な処遇確保などの濫用防止措置を前提に、対象の在り方について、見直しの検討を行う
・変形労働時間制については、現場の実態や、労働者の生活時間や予見可能性の確保にも留意しつつ検討を進める
・連続勤務規制や勤務間インターバル制度の法的位置付け、「つながらない権利」の在り方、副業・兼業に当たっての健康確保、テレワークの活用促進などについて、現場の実態や労使双方の立場を十分に踏まえて、検討を進める
●運用について
→ 36協定の締結や柔軟な労働時間制の活用について、よろず支援拠点等との連携を強化しつつ、「働き方改革推進支援センター」や労働基準監督署による相談支援の充実を速やかに実施する
→ 労働基準監督署において、重大・悪質な事案に対しては厳正に対応しつつ、労働時間や労働者の健康確保措置に関する労使の合意に則った指導が行われるよう速やかに見直す
●業種・業態の特性に応じた働き方改革推進の取組み
→ 運輸業における荷主対策、建設業における適正な工期の確保など、業所管官庁との連携を着実に進める
(2)さらなる労働参加の促進やスキルと能力を十分に発揮できる環境の整備
●多様な働き方の実現を通じた労働参加の促進
→ 仕事と育児・介護との両立を推進するため、労務管理の専門家による個別の相談支援や助成金の活用促進を実施する。特に、男性の育児休業取得の促進、柔軟な働き方の導入に向けて、「共働き・共育て」を推進する
→ 女性活躍を加速化させるため、企業向けアウトリーチ・伴走型支援と併せて「えるぼしプラス」について取得促進を行い、企業の好事例を収集・周知する
→ ハラスメント対策について官民連携による業種別の取組推進キャンペーンの実施を検討する
→ 70歳までの就業確保措置の普及拡大や高齢期の処遇の改善に向けた取組み、安全衛生対策をさらに推進する
●一人一人がスキルと能力を十分に発揮できる環境の整備
→ 改正「同一労働同一賃金ガイドライン」の周知徹底とともに、都道府県労働局による報告徴収等を通じ、現場における履行確保に取り組む
→ 障害者雇用の「質」の向上に向け、ガイドラインの策定、優良事業主認定基準の見直し、手帳を所持しない難病患者の就労促進を含め、雇用率制度等の在り方について検討を行う
4 中小企業をはじめとした、企業の人材マネジメントへの支援
●人材マネジメント強化のための新たな中小企業支援ネットワークの構築
→ 働き方改革推進支援センターを中心として、よろず支援拠点等との相互連携を強化することにより、新たなネットワークを構築し、中小企業・小規模事業者に対して総合的な支援を実施する
●人材マネジメント強化のための個別支援策の充実
→ 生産性向上人材育成支援センター、働き方改革推進支援センター等による支援や情報の提供を行う
→ 仕事と育児・介護との両立推進、女性活躍、中小企業のリ・スキリング促進につながる取組みを実施する
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。