「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」が公表されました
12月23日、厚生労働省は、「無期転換ルール及び多様な正社員等の労働契約関係の明確化に関する考え方と裁判例」を公表しました。
次のような構成となっています。
【無期転換ルール】
1. 無期転換前の雇止め等
① 無期転換申込権が発生する直前に合理的な理由のない雇止め
裁判例:公益財団法人グリーントラストうつのみや事件(令和2年6月10日宇都宮地判労判1240号83頁)
② 無期転換申込権発生前に新たに(一方的に)更新上限を設定して上限を理由に雇止め
裁判例:博報堂事件(福岡地判令和2年3月17日労判1226号23頁)
地方独立行政法人山口県立病院機構事件(山口地判令和2年2月19日労判1225号91頁)
③ 当初の契約締結時から更新上限を設定して無期転換申込権発生前に雇止め
裁判例:日本通運(川崎)事件
④ 再雇用を約束した上で雇止めをし、クーリング期間経過後に再雇用
⑤ 無期転換申込権が生じる前に派遣や請負を偽装して形式的に他の使用者に切替え
⑥ 無期転換後の労働条件について(一方的に)不合理な「別段の定め」をすることによる無期転換申込みの抑制
⑦ 無期転換申込みの拒否
⑧ 無期転換申込権の事前放棄の強要
⑨ 細切れな定年を設定し、無期転換後、数年で定年退職
2. 無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱い
【多様な正社員】
1. 労働条件の変更
裁判例:山梨県民信用組合事件(最二小判平成28年2月19日労判1136号6頁)
裁判例:東武スポーツ(宮の森カントリー倶楽部・労働条件変更)事件(東京高判平成20年3月25日労判959号61頁)
裁判例:技術翻訳事件(東京地判平成23年5月17日労判1033号42頁)
2. 勤務地、職務、勤務時間についての限定合意
① 限定合意と配転命令
② 限定合意と労働者の同意
③ その他(限定合意が認められない場合)
裁判例:滋賀県社会福祉協議会事件(最二小判令和6年4月26日労判1308号5頁)
裁判例:西日本鉄道事件(福岡高判平成27年1月15日労判1115号23頁)
裁判例:安藤運輸事件(名古屋高判令和3年1月20日労判1240号5頁)
3. 整理解雇
① 勤務地や職務限定と整理解雇の考え方
② 解雇の有効性の判断の傾向
裁判例:学校法人奈良学園事件(奈良地判令和2年7月21日労判1231号56頁)
裁判例:ワキタ(本訴)事件(大阪地判平成12年12月1日労判808号77頁)
裁判例:学校法人村上学園事件(大阪地判平成24年11月9日(ワ)第3185号)
③ 勤務地限定や高度な専門性を伴わない職務限定と整理解雇法理の判断の傾向
裁判例:シンガポール・デベロップメント銀行(本訴)事件(大阪地判平成12年6月23日労判786号16頁)
裁判例:全日本海員組合事件(東京地判平成11年3月26日労経速1723号3頁)
裁判例:フェイス事件(東京地判平成23年8月17日労経速2123号27頁)
4. 能力不足解雇
裁判例:ブルームバーグLP事件(東京高判平成25年4月24日労判1074号75頁)
裁判例:ドイツ証券事件(東京地判平成28年6月1日ジャーナル54号39頁)
5. その他
裁判例:大阪労働衛生センター第一病院事件(大阪高判平成11年9月1日労判751号38頁)
裁判例:スカンジナビア航空事件(東京地決平成7年4月13日労判675号13頁)
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