危険運転致死傷罪の改正が施行されています
7月24日、法務省は、7月21日から施行されている危険運転致死傷罪の改正について、「危険運転致死傷罪(自動車運転死傷処罰法)の法改正 Q&A」のページを公開しました。
改正法の主な内容は下記の3点です。
●飲酒類型
→ 「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」との要件を明確化するための数値基準を新設
●高速度類型
→ 道路・交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度で自動車を運転する行為を対象とする新たな類型の新設をした上で、数値基準を設定
●殊更滑走等類型
→ 殊更にタイヤを滑らせまたは浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為を危険運転致死傷罪の対象とする類型の新設
それぞれの具体的な内容は、下記です。
●飲酒類型
次の1または2の状態で自動車を走行させ、人を死傷させた場合
1 数値基準(呼気中アルコール 0.5mg/l以上)を満たす高濃度のアルコールを身体に保有する状態
→ 一律に危険運転致死傷罪の対象
2 その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態
→ 1の数値基準を満たさなくても危険運転致死傷罪の対象
●高速度類型
次の1または2の高速度で自動車を運転し、人を死傷させた場合
1 数値基準を満たす高速度
・最高速度が60km/h以下の場合:最高速度+50㎞/h以上
・最高速度が60km/h超の場合:最高速度+60km/h以上
→ 一律に危険運転致死傷罪の対象
2 1に準ずる速度であって、道路および交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度
→ 1の数値基準を満たさなくても危険運転致死傷罪の対象
●殊更滑走等類型
車体を横滑りさせながらカーブを曲がったり、二輪車の前輪を浮かせて後輪だけで走行したりするなどの行為により、その進行を制御することが困難な状態にさせて自動車を走行させ、人を死傷させた場合
Q&Aでは15の問が扱われていて、例えば高速度類型について下記のような問があります。
Q14 数値基準に「準ずる」速度とは、どのような速度ですか。また、「道路及び交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」とは、どのような速度ですか。
A14 「準ずる」とは、数値基準として定められた速度と同程度のものといえることを意味し、少なくとも、数値基準を10km/h以上下回る速度は、これには当たりません。
「道路及び交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」とは、道路の形状や路面の状況、歩行者や他の車両の交通量等に応じて、人の死傷結果が生じるような事故を生じさせないようにすることが著しく困難な高速度のことをいいます。
「道路及び交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」に該当するか否かは、飽くまで個別具体的な道路や交通の状況に照らして判断されることとなりますが、例えば、
○ 最高速度が時速40キロメートルの道路を数値基準に準ずる速度で走行中、路面凍結の影響でブレーキ又はハンドルの操作を的確に行うことができず、右折しようとする対向車に衝突した場合
には、路面の凍結状況を踏まえてそもそも最高速度が低く定められているような場合を除き、この要件に該当し得ると考えられます。
また、
○ 時速30キロメートルの最高速度が定められている道路において、多くの児童が下校している中を、数値基準に準ずる速度で走行し、歩行中の児童に衝突した場合
にも、この要件に該当し得ると考えられます。
他方で、走行速度が数値基準に準ずるものである場合であっても、例えば、
○ 夜間に、車両の通行量がほとんどない、最高速度が時速60キロメートルの道路を走行中、信号機のない交差点において、左方から進行してきた車両と衝突した場合
などには、この要件の該当性が否定され得ると考えられます。
なお、2026年9月1日より、改正道路交通法施行令の施行により、生活道路(注)における自動車の法定速度が60km/hから30km/hに引き下げられます。
(注)主に地域住民の日常生活に利用されるような道路のことをいいます。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。