「公益通報者保護制度Q&A」が公表されています
5月29日、消費者庁は「公益通報者保護制度Q&A」を公表しました。
改正公益通報者保護法(令和7年法律第62号)が令和8年12月1日に施行されるにあたり、これまで公表していた公益通報者保護制度に関する各種Q&Aを改めて整理したもので、全268の問が収録されています。
次のような構成となっています(かっこ内の数字は問の数)。
●公益通報者保護法に関するQ&A(基本的事項)(15)
●通報対象事実(通報の内容)に関するQ&A(7)
●公益通報者に関するQ&A(11)
●通報先に関するQ&A(15)
●保護要件に関するQ&A(13)
●不利益な取扱いに関するQ&A(12)
●内部公益通報対応体制の整備、労働者等に対するその周知その他の必要な措置に関するQ&A(65)
●従事者に関するQ&A(17)
●事業者における通報対応に関するQ&A(12)
●行政機関向けQ&A(全般) (26)
●行政機関向けQ&A(内部の職員等からの通報)(12)
●行政機関向けQ&A(外部の労働者等からの通報)(30)
●罰則その他事項に関するQ&A(15)
ここでは、今般の改正を踏まえて作成された問の中から、一部を紹介します。
●保護要件に関するQ&A
Q1(※) 「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由」(本法第3条第1項第2号及び第3号)がある場合とはどのような場合を指しますか。
A 「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由がある場合」の例としては、単なる憶測や伝聞等ではなく、通報内容を裏付ける内部資料等がある場合や関係者による信用性の高い供述がある場合等が考えられます。
なお、後日、紛争となった場合に、実際に本法の規定による不利益な取扱いからの保護を受けようとするためには、公益通報者の側が、「通報時点で「通報対象事実が生じ、又はまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由」があったこと」を自ら立証することが必要と考えられます。
●不利益な取扱いに関するQ&A
Q2(※) 労働者のみに適用される、立証責任の転換(本法第3条第3項)とはどのような規定ですか。
A 公益通報をした日から1年以内に公益通報者が解雇又は懲戒された場合、当該解雇又は懲戒は、訴訟上、公益通報をしたことを理由としたものと「推定」されます。
訴訟では、原告と被告がそれぞれの主張を行います。この「推定」がされると、訴訟上、事業者の側で「公益通報をしたことを理由とした解雇又は懲戒ではない」と十分に主張立証できなかった場合、事業者に不利益な認定がなされる(つまり、公益通報をしたことを理由とする解雇又は懲戒であることが認定される)ことになります。
推定規定は公益通報をした「労働者」のみに適用されるところ、通常は、「公益通報をしたことを理由として解雇又は懲戒されたこと」については、原告となる労働者自身が主張立証する必要がありますが、公益通報を行った後に解雇や懲戒がなされたとしても、人事関係の資料を事業者が保有している限り、労働者の側から「公益通報をしたことを理由として解雇又は懲戒されたこと」を主張・立証することは困難と考えられますので、こういった点に対応した規定です。
Q6(※) 公益通報がなされた場合、その公益通報者に以前から解雇その他の懲戒処分等に相当する問題があった場合であっても、その公益通報者に対して解雇その他の懲戒処分等をすることは禁止されますか。
A 本法では、公益通報をしたことを理由とした不利益な取扱いが禁止されています。また、公益通報者が「労働者」の場合、公益通報後1年以内の解雇又は懲戒処分は公益通報を理由としてされたものと推定する、との規定(本法第3条第3項。本Q&A・Q2参照)も適用されます。公益通報をしたこと以外の理由に基づいて解雇その他の懲戒処分等をすることは本法の禁止規定に抵触しませんが(他の法理により制限される場合はあり得ます。)、後の紛争を防止するために、解雇その他の懲戒処分等が公益通報をしたことを理由とするものではないことについて、事業者において、客観的で合理的な根拠を示すことができるようにしておくことが考えられます。
●内部公益通報対応体制の整備、労働者等に対するその周知その他の必要な措置に関するQ&A
Q33(※) 「通報妨害行為を行うことを防ぐための措置」(指針第4の2(2)ロ)とはどのような措置が考えられますか。
A 通報妨害行為を行うことを防ぐための措置として、例えば、通報妨害行為は行ってはならない行為であって懲戒処分その他の措置の対象となることを内部規程に定め、その旨を周知・啓発することや、実際に通報妨害行為が行われた場合には内部規程に基づき行為者に対する厳正な対処を行うこと等が考えられます。
なお、内部公益通報受付窓口以外にも、従事者ではない上司等に対する内部公益通報、2号通報及び3号通報についても、通報妨害行為が防止される必要があり、「範囲外共有、通報妨害及び通報者探索の防止に関する措置」(指針第4の2(2))に関して同様の措置をとる必要があります。
●事業者における通報対応に関するQ&A
Q10(※) 内部公益通報受付窓口に寄せられた通報が、本当に労働者及びフリーランス等からのものであるかについて疑義が生じた場合、どのような確認方法がありますか。
A 例えば、なりすましのように通報者が労働者及びフリーランス等であるかについて疑義が生じた場合には、通報者探索の禁止(本法第11条の3)にも留意しつつ、社員名簿で確認する、改めて折り返しの連絡を行う、社員証の写し等を提出させる、労働者及びフリーランス等であれば知っている情報の確認を行うなどの方法をとることが考えられます。
その際、どの程度本人確認を行うかについては、各事業者において判断することになりますが、各事業者においては、コンプライアンス(法令遵守等)やリスク管理の観点から、労働者及びフリーランス等以外の者からの通報であっても、法令遵守等に資する通報を受け付け、調査を行い、重大性や切迫性等に応じて問題があれば是正をするなど、適切に対応することが重要です。
なお、本法では匿名の公益通報も認められているところ、厳格な本人確認を求めることで実質的に匿名の公益通報を受け付けていないと評価されるなどの場合には、本法の趣旨に反するおそれがあるので留意が必要です。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。