令和7年改正公益通報者保護法の指針および指針の解説が公表されています
3月31日、消費者庁は、「公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和3年8月20日内閣府告示第118号、令和8年3月31日一部改正内閣府告示第15号)および指針の解説を公表しました。
令和7年改正公益通報者保護法では、下記のような改正が行われており、令和8年12年1月から施行されます。
1 公益通報に適切に対応するための体制整備の徹底と実効性の向上
2 公益通報者の範囲拡大
3 公益通報を阻害する要因への対処
4 公益通報を理由とする不利益取扱いの抑止等
上記3については、これまでの範囲外共有に加えて、事業者は、通報妨害および通報者探索の防止に関する措置をとらなければならないとして、次のように示されています。
【指針】
(2) 範囲外共有、通報妨害及び通報者探索の防止に関する措置
イ 事業者の労働者及び役員等が範囲外共有を行うことを防ぐための措置をとり、範囲外共有が行われた場合には、適切な救済・回復の措置をとる。
ロ 法第11条の2第1項の規定による正当な理由がある場合を除いて、事業者の労働者及び役員等が通報妨害行為を行うことを防ぐための措置をとる。
ハ 法第11条の3の規定による正当な理由がある場合を除いて、事業者の労働者及び役員等が、通報者探索を行うことを防ぐための措置をとる。
ニ 範囲外共有、通報妨害行為及び通報者探索が行われた場合に、当該行為を行った労働者及び役員等に対して、行為態様、被害の程度、その他情状等の諸般の事情を考慮して、懲戒処分その他適切な措置をとる。
【指針の解説】
● 通報妨害行為は、原則、許容されるものではなく、「正当な理由」は限定的な場合に留まるべきである。「正当な理由」については、例えば、労働者に対して、特段の根拠もないのに単なる思い込みで報道機関や取引先等に通報行為をしないよう文書又は口頭で求めることは該当し得ると考えられる。
● 通報者探索は、原則、許容されるものではなく、「正当な理由」は限定的な場合に留まるべきである。「正当な理由」については、例えば、匿名の通報について、通報者が具体的にどのような局面で不正を認識したのか等を特定した上でなければ、必要な調査や是正ができない場合に、公益通報に対応する際、法第12条の規定により守秘義務を負う従事者が通報者の特定につながる事項を問うことは該当し得ると考えられる。
● 正当な理由のない通報妨害行為及び通報者探索を行うことを防ぐための措置として、例えば、通報妨害行為及び通報者探索は行ってはならない行為であって懲戒処分その他の措置の対象となることを定め、その旨を周知・啓発すること等が考えられる。
また、上記4については、今般の改正で通報後1年以内の解雇または懲戒は公益通報を理由としてされたものと推定する(民事訴訟上の立証責任転換)ことや罰金に関する定めが設けられましたが、指針および指針の解説では次のように示されています。
【指針】
「不利益な取扱い」とは、法第3条第1項、第4条第1項、第5条及び第6条第1項の規定により禁止される行為の総称をいい、公益通報をしたことを理由としてされた、例えば、次に掲げるものが該当する。
・ 地位の得喪に関すること(解雇、退職の強要、正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要、期間を定めて雇用される者について契約の更新をしないこと、あらかじめ契約の更新回数の上限が明示されている場合に当該回数を引き下げること、本採用・再採用の拒否、懲戒解雇、休職、労働者派遣契約の解除、業務委託に係る契約の解除等)
・ 人事上の取扱いに関すること(降格、不利益な配置の変更・出向・転籍・長期出張等の命令、昇進・昇格の人事考課において不利益な評価を行うこと、不利益な自宅待機を命ずること、けん責等の懲戒処分、派遣労働者として就業する者について派遣先が当該派遣労働者に係る労働者派遣の役務の提供を拒むこと、公益通報者に係る労働者派遣をする事業者に派遣労働者の交代を求めること等)
・ 経済待遇上の取扱いに関すること(減給、賞与・一時金・退職金等において不利益な算定を行うこと、業務委託に係る取引の数量の削減、業務委託に係る取引の停止、業務委託に係る報酬の減額、役員報酬の減額等)
・ 精神上・生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ等)
【指針の解説】
● 「不利益な取扱い」のうち、精神上・生活上の取扱いに関すること(事実上の嫌がらせ等)の例としては、公益通報をしたことを理由として業務に従事させないこと、専ら雑務に従事させること等の行為が考えられる。
● 不利益な取扱いを防ぐための措置として、例えば、以下のようなもの等が考えられる。
・ 労働者等及び役員に対する周知・啓発
・ 内部公益通報受付窓口において不利益な取扱いに関する相談を受け付けること
・ 被通報者が、公益通報者の存在を知り得る場合には、被通報者が公益通報者に対して不利益な取扱いを行うことがないよう、被通報者に対して、その旨の注意喚起をする等の措置を講じ、公益通報者の保護の徹底を図ること
● 不利益な取扱いを受けていないかを把握する措置として、例えば、公益通報者に対して能動的に確認する、不利益な取扱いを受けた際には内部公益通報受付窓口等の担当部署に連絡するようその旨と当該部署名を公益通報者にあらかじめ伝えておく等が考えられる。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。