同一労働同一賃金ガイドライン見直し案および報告書案の追加修正が示されました
12月25日、第29回労働政策審議会職業安定分科会雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会が開催され、同一労働同一賃金ガイドライン見直し案および報告書案の追加修正が示されました。
ここでは、それぞれの主な修正内容を紹介します(下線部分が修正箇所)。
【ガイドライン見直し案】
●短時間・有期雇用労働者
(第28回)
3 「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
(中略)……当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものであり、当該目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。
(第29回)
3 「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
(中略)……当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものであり、「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。
●派遣労働者
(第28回)
2 「通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
(中略)……待遇の相違が不合理と認められるか否かは、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものであり、当該目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。
(第29回)
2 「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的で待遇を行う場合の取扱い
(中略)……当該待遇の相違が不合理と認められるか否かは、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の他の性質及び当該待遇を行う他の目的にも照らして適切と認められるものの客観的及び具体的な実態に照らして判断されるものであり、「派遣先に雇用される通常の労働者としての職務を遂行しうる人材の確保及びその定着を図る」等の目的があることのみをもって直ちに当該待遇の相違が不合理ではないと当然に認められるものではない。
【報告書案】
●均等・均衡待遇
(第28回)
(5)いわゆる「立証責任」
(中略)……現時点では、法的枠組みを変更せず、説明義務の改善や、労使コミュニケーションの促進等を通じて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の更なる是正を図ることとすることが適当である。
(第29回)
(5)いわゆる「立証責任」
(中略)……現時点では、法的枠組みを変更せず、説明義務の改善や、労使コミュニケーションの促進等を通じて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の更なる是正を図ることとすることが適当である。
この点について、労働者代表委員からは、現行法施行以降も待遇についての雇用形態間格差が残るとともに、待遇差の改善に消極的な司法判断もあることを踏まえれば、「同一労働同一賃金」の目的達成に向け、待遇の相違を設ける使用者に相違の合理性の立証責任を課すことを法律上明確にする法改正を行うべきとの意見があった。
また、使用者代表委員からは、不合理性の立証責任は、欧州の主要国とは異なるわが国企業の賃金制度の実態等を踏まえた仕組み。企業では現行法の理解がようやく定着し、待遇改善の途上にある。今後も現行法の枠組みを土台として、労使コミュニケーションを通じた待遇改善や雇用慣行の見直しを進めるべきとの意見があった。
●労働者に対する待遇に関する説明義務の改善
(第28回)
(1)待遇の相違の内容及び理由等について事業主及び派遣元事業主に説明を求めることができる旨の労働条件明示事項への追加等
パートタイム・有期雇用労働者及び派遣労働者の雇入れ時における労働条件明示事項に、パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項及び労働者派遣法第31条の2第4項に基づき事業主及び派遣元事業主に説明を求めることができる旨を追加することが適当である。
(以下省略)
(第29回)
(1)待遇の相違の内容及び理由等について事業主及び派遣元事業主に説明を求めることができる旨の労働条件明示事項への追加等
パートタイム・有期雇用労働者及び派遣労働者の雇入れ時における労働条件明示事項に、パートタイム・有期雇用労働法第14条第2項及び労働者派遣法第31条の2第4項に基づき事業主及び派遣元事業主に説明を求めることができる旨を追加することが適当である。
(中略)
この点に関し、労働者代表委員からは、労働者に対して待遇の説明を尽くすことは事業主の責務であること、労働者の立証責任の負担軽減のためには労使間の情報格差の是正が重要であること等を踏まえれば、労働者からの求めの有無にかかわらず待遇差の説明を事業主の義務とする法改正を行うべきとの意見があった。
●無期雇用フルタイム労働者
(第28回)
(5)無期雇用フルタイム労働者
(中略)……現時点では、法的枠組みを変更せず、当該均衡の考慮に当たっては、同一労働同一賃金ガイドラインの趣旨が考慮されるべきであること等を、同一労働同一賃金ガイドラインで示すことが適当である。
(第29回)
(5)無期雇用フルタイム労働者
(中略)……現時点では、法的枠組みを変更せず、当該均衡の考慮に当たっては、同一労働同一賃金ガイドラインの趣旨が考慮されるべきであること等を、同一労働同一賃金ガイドラインで示すことが適当である。
この点について、労働者代表委員からは、無期転換労働者を含め、「同一労働同一賃金」の法規定の対象外である無期雇用フルタイム労働者の待遇改善の観点からは、無期雇用フルタイム労働者と通常の労働者との間の合理的な理由のない待遇差の禁止規定を法制的に整備すべきとの意見があった。
また、使用者代表委員からは、法改正により無期雇用労働者間の均衡を規定することは適切ではない。合理的理由のない待遇差の禁止を設ければ5年を超えて有期労働契約を更新することを控える作用が生じかねない。無期転換前の均衡確保が重要であり、転換後の待遇は教育訓練を通じた業務の高度化等により改善されるべきとの意見があった。
●雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組に係る今後の検討
(第28回)
なし
(第29回)
本報告を踏まえて講じられる措置については、雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保という働き方改革関連法によるパートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法の改正趣旨を念頭に置きながら、経済社会の変化や働き方の多様化等を踏まえ、今後、施行状況等を把握した上で、法規定の在り方も含め検討を加えることが適当である。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。