令和6年度の障害年金の認定状況に関する調査報告書が公表されました
6月11日、厚生労働省は、令和6年度の障害年金の認定状況に関する調査報告書が公表されました。
令和6年度の障害年金の認定状況については、5月2日に新規裁定における非該当件数が増大したという報道等に関して衆議院で質問が提出され、同月16日に調査を実施する旨、答弁がされていました。
今般の調査報告はこの調査結果に関するもので、より客観的かつ公平な認定に向けた今後の対応策も示されています。
【調査の概要】
・新規裁定1,000件、再認定10,000件を無作為抽出し、集計
・抽出した件数のうち、不支給または支給停止となった事案(新規130件・再認定105件)について、審査資料等の個
別確認を実施
・個別確認を行ったケース(新規130件)のうち、精神障害で「障害等級の目安より下位に認定され不支給となっているケース」等の計64件について、審査担当職員にヒアリングを実施。併せて、センター長等の職員や認定医へのヒアリングを実施
【集計結果】
●新規裁定
・新規裁定1,000件のうち、非該当は130件(13.0%)。令和5年度の非該当割合(8.4%)より上昇
・非該当割合を種類別にみると、精神障害で12.1%、外部障害で10.8%、内部障害で20.6%。令和5年度(精神障害6.4%、外部障害10.2%、内部障害19.4%)と比較すると、精神障害の非該当割合の上昇が大きい
・精神障害は、医学的な検査数値等の客観的な指標による評価が必ずしもできない部分があり、ガイドラインや障害等級の目安が定められていて、この障害等級の目安との関係をみると、不支給事案に占める「目安より下位等級に認定され不支給となっているケース」または「目安が2つの等級にまたがるものについて、下位等級に認定され不支給となっているケース」の割合は75.3%
●再認定
支給停止は105件(1.0%)で令和5年度の支給停止割合(1.1%)と同水準
【今後の対応策】
・認定医に関する文書(注1)廃止
・担当認定医の無作為での決定
・審査書類に丁寧に記載することの徹底
・認定事例の作成・考慮要素の徹底
・理由記載事務連絡(注2)を改正してルールを整備し、理由付記文書(注3)について改正後の事務連絡に基づいた理由付記を徹底する
・事前確認票(注4)に記載する職員による等級案廃止(精神障害)
・今後のすべての不支給事案について複数の認定医による審査
・過去の精神障害等の不支給等事案の点検
(注1)ヒアリングによると、職員の異動等の際に、担当者間での引継ぎのために、障害年金センター内部で使用していたもので、実際に審査を担当する職員の申送り事項、認定医が判定を行う際の事務的な応対方法をメモしたもの。組織的に認定をコントロールする意図を持って作成・使用されていた文書ではないと考えられるものの、認定の傾向に関することなど、一部に適切ではない記載内容も含まれていた。
(注2)「障害年金の不利益処分等に係る理由記載の充実について」(令和元年9月26日付け年管管発0926第2号)
(注3)不支給決定通知書等に同封する、決定の理由を記載した文書。
(注4)認定医が障害等級の認定をする際の参考とする、認定時に確認が必要な事項を職員が記載する文書で、職員が等級案を記載する欄があり、等級案も含め、認定医が審査する際の参考情報という位置付けではあるが、認定医のヒアリングによると、等級案
をみて決めているわけではないといった旨の話があった。
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